- 歯ぎしりは「音」だけの問題ではありません
- 歯ぎしり・食いしばりによって引き起こされる症状例
- 歯ぎしり・食いしばりのリスクはマウスピースで軽減できます
- 歯ぎしり・食いしばりについて
- 歯ぎしり・食いしばりが歯に与える悪影響
- 歯ぎしりの原因と対処法
歯ぎしりは「音」だけの問題ではありません

「歯ぎしり」や「食いしばり」はご自身ではなかなか気づくことが難しいものです。特に睡眠中に起こるケースが多いため、周囲から「音」として指摘されて初めて自覚される方が多くいらっしゃいます。さらに、音が出にくい「食いしばり」の場合は、気づかないまま無意識に続けてしまうことも少なくありません。
しかし、これらの習慣は放置すると歯に大きなダメージを与える原因となり、気づかぬうちに歯の健康を脅かすことになります。私たちが歯ぎしり・食いしばりへの対処を重視する理由、それは「歯を失うリスク」に直結するからです。
歯を失う主な原因は、「むし歯」「歯周病」「過度な力」とされています。この「力」によるダメージの代表例が、歯ぎしりや食いしばりです。
歯ぎしり・食いしばりによって引き起こされる症状例
- 歯のすり減り・摩耗
- 歯にヒビ(クラック)が入る
- 歯ぐきが下がる(歯肉退縮)
- 歯の根元が割れる
これらの症状は進行すると、歯の保存が困難となり、最終的には抜歯が必要になることもあります。
歯ぎしり・食いしばりのリスクはマウスピースで軽減できます
歯ぎしりや食いしばりは、ほとんどの方が就寝中に無意識に行っているとされており、その行為自体を完全になくすことは困難です。しかし、マウスピースを使用することで、歯や顎への負担を大幅に軽減することが可能です。まずは、ご自身がどの程度歯ぎしりや食いしばりをしているのかを知ることが、適切な予防への第一歩となります。
歯ぎしり・食いしばりについて
歯ぎしりや食いしばりは、以下の3つのタイプに分類されます。
グラインディング
上下の歯を強く擦り合わせるタイプ(ギリギリ音が出る)
クレンチング
上下の歯を強く擦り合わせるタイプ(ギリギリ音が出る)
タッピング
上下の歯をカチカチと小刻みに接触させるタイプ
いずれも無意識のうちに行っていることが多く、歯や歯ぐき、顎の関節などに大きなダメージを与えてしまいます。
歯ぎしり・食いしばりが歯に与える悪影響
歯ぎしり・食いしばりが続くと、以下のような症状や不調を引き起こす可能性があります。
口腔への影響
強い力によって、歯が削れたりヒビが入ったり、歯ぐきが下がる、歯根が割れるなどの問題が起こることがあります。また、矯正した歯並びが崩れる、詰め物や被せ物がすぐにダメになってしまうこともあります。
顎関節症の発症
顎の開閉時に痛みや異音がある、口が開きにくいといった症状が見られる場合は、顎関節症の可能性があります。歯ぎしりが主な要因となることもあります。
顔の左右差・歪み
片側ばかりで噛む癖や一方的な食いしばりを続けていると、筋肉の発達に偏りが出て、顔の輪郭が非対称になる場合があります。放置すると、頬の張り方や目の大きさに違いが出ることもあります。
知覚過敏
歯の表面のエナメル質がすり減り、冷たい物や歯ブラシが当たると強い痛みを感じることがあります。症状が進行すると、神経を抜く処置が必要になることもあります。
体の不調
顎や頭部にかかる過度な力は、肩こり・頭痛・腰痛・全身の倦怠感など、全身の不調に影響を及ぼすことがあります。
歯ぎしりの原因と対処法
多くの方が無意識のうちに行っている歯ぎしりや食いしばりは、単なる「クセ」では済まされない、歯や顎に大きな負担をかける習慣です。中でも代表的な原因とされるのが「ストレス」と「集中時の習慣行動」です。
日常生活の中で抱えるストレスが、無意識下での食いしばりや歯ぎしりの引き金になることがあります。特に、睡眠中に強く歯を擦り合わせてしまうのは、心理的な緊張を無意識に解消しようとする代償行為の一種と考えられています。
スプリント療法(マウスピース)
歯ぎしりや食いしばりを根本的に止めるのは難しいため、現在では「スプリント療法」が一般的な対処法となっています。スプリントとは、専用のマウスピースを就寝中に装着する治療法です。上下の歯が直接ぶつからないようにすることで、歯や顎へのダメージを軽減します。
ストレスの発散
日常的に感じるストレスを緩和することも重要です。読書、散歩、入浴、深呼吸など、ご自身に合ったリラックス方法を見つけて取り入れてみましょう。心身の緊張を和らげることで、食いしばりの頻度が抑えられる可能性があります。
日中の習慣を見直す
集中している時に無意識に歯を食いしばってしまう方は、「歯を離す」ことを意識するだけでも改善につながります。仕事や勉強の合間に「今、食いしばっていないか?」と自問するだけでも効果的です。繰り返し意識することで、習慣の改善が期待できます。